プロフィール

とめきち

Author:とめきち
2013年夏カカイルにはまった新米カカイラーです。
煩悩のまま駄文を書き散らしております。

ギャグとシリアスが混沌としております。
闇鍋みたいなサイトです。

本人は読むのは雑食です。
書くのはカカイルメインでちょっこっと捧げ物でライアオ書いてます。
こちらはカカイルサイトなのでそちらはUPしてません。

溺愛するポケモンはラプラスと使いやすさでコバルオン。
お稲荷さんと聞くと変態仮面が真っ先に思い浮かびます。
意外と手先が器用です。

基本的にギャグのカカシ先生はイルカ先生の話をキチンと聞いてませんし変態です。
イルカ先生は基本ツッコミです。

現パロのリゾートシリーズは基本カカイルですが色々なキャラが出てます。
っていうか最近そっちがメインな気もします・・・。

高校生シリーズは一旦完結しましたがたまに番外編で出てきてます。

リンクフリーです。
報告とかしてもらっちゃったら即効お邪魔します。
相互とかさせていただいちゃったりしたら喜んで話の一本でも書かせていただいて手土産にお邪魔いたします(笑)

ではへっぽこで珍妙で拙い文ではありますが宜しければお楽しみいただければ幸いです。

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空と月と銀色と

高校生カカシと教師イルカのシリーズですが今回はカカシの過去編です。
話の中で「イルカ先生に会うためだけにこの学校に来た。」公表されてないはずのイルカの大学を「先生の出身大学と同じ学校を受験予定」と言っていましたが真実は一体・・・?
サクモさん、ミナトさん、小さいナルトも出てきます。
そしてかなり長めです。
前後編にすればよかったかと思いますがキリが悪いんで一気にUPで・
当サイトにしては珍しいカカシ目線のお話、良ければ追記よりどうぞ・・・。



小さな時は大好きだったはずのこの国がいつの間にか大嫌いになっていた。
物心付く前に母を亡くした後は父の仕事の関係でこの国を拠点としてあちこちの国を行ったり来たりしていた。
この国が嫌いになった当時はむしろ寮の付いた学校なりに放り込んでくれれば諦めもついて良かったのにと思うことも多々あった。
だが今にして思えばそうされていたら彼との出会いは無かったであろうからその点は父に感謝している。
子供の時の自分は見た目からして明らかに異端児だった。
何も分からない小さな頃はそれでも子供は子供同士で楽しく遊んでいられたが少し大きくなり知恵が付いてくると親の真似をするようになり、異端なものは排除しようとされた。
あれは幾度目か覚えてないがこの国に帰ってきた時の春と夏の間位の季節の話だった・・・。

銀色と空と月と

「ごめん、ミナト君いるかい?」
そう言って父は同じ大学内にある研究所に俺を連れて行った。
「どうしたんですか?サクモさん・・・って今日はカカシ君も一緒ですか?」
「夕方から泊りがけで出張だから連れてきたんだ。すまんがミナト君、カカシを少しの間預かって貰えないかね?急に来客があって行かなくちゃいけないんだよ。普段なら気にしないんだが、ちょうど今は研究室の中に発掘したばかりの品なんか置いているから危ないし・・・。たしかミナト君は最近ナルト君を連れてきていたろ?」
「はい、クシナの調子が悪いんで連れて来てますけど・・・・ってカカシ君どうしたんですか?その髪は!!」
「・・・学校でね、からかわれるらしくて本人の希望で染めたんだ。他にも名前の事や、海外が長いから日本語の発音なんかも言われるらしくて最近は学校に行ってないんだ。学力は同年代の子よりぐっと上を行ってるからと取り合えずで空いている学校に入れたのも悪かったらしくて。この子には申し訳無い事をしたよ。」
「うちのナルトもそうですよ・・・。だから学校はインターナショナルスクールに入れるんです。」
そう言って二人は俺の事を見た。

当時は父親と一緒にこの国に帰国して少し経ったくらいだった。
年の割りに小柄でひょろひょろのやせっぽっちで実際の年よりずいぶん下に見られていた
小さな頃はお手伝いさんに家のことや俺のことを全て任せていたが何度目かの帰国の際に必要以上にベタベタと俺に接してくるお手伝いさんに当りそれを見た父は『お前も自分の身の回りは自分でしろ』と言い、夕飯のみ作って貰うことにしてそれ以外のことは自分たちで出来るだけするようにしていた。

その辺り位からだったと思う。
小さなときは子供同士で気にしていなかった外見の事や言葉の事で毎日からかわれていた。
髪の毛が珍しい銀髪と言うのもあるし目の色も皆と違う事もあった。
からかわれるのが嫌だと父に無理を言って髪を染めさせて貰えば今度は『日本人の真似をして。』とからかわれた。
父は日に日に沈んで行く俺を見て『無理はするな、自宅でだってどこでだって学ぼうと思えばどこででも勉強は出来る。』と無理に学校へ行かせようとはせずに普段は自宅で、今日のように公演や出張や他の学校での出張授業があるときは連れて歩いてくれた。
今にして思えば俺がこの国を嫌いにならないようにと色々見せてくれていたのだろう。
だが別に俺は学校に行かないで済むならそれでよかった。
その頃の俺はいつも下を向いて余計なものを見ないで済むようにしていた。

「あーっ実は・・・僕もこれから講義が入ってるんですよ。いつもは研究室の誰かがいるんですが今日に限って誰もいなくて。ナルトを一人にするのは不安だけどカカシ君と一緒でも若干不安かな?誰か僕の講義取ってる学生でもいれば頼んじゃうんだけど・・・。」
そう言うとミナトさんは窓からキョロキョロ何かを探している・・・と
「あ、確かあの子は僕の講義とっているはず!!特徴あるから覚えてる!!サクモさん大丈夫ですよ?お客様待たせてるんでしょ、行ってください。後は大丈夫です。」
そう言われた父は去っていった。
ミナトさんは犬の尻尾みたいにくくった髪の毛の男子学生を呼び止めた。
「おーい、ちょっとそこの・・・髪の毛くくったキミ!!そうキミだよ。ちょっと頼みたいことがあるんだけど良いかな?」
呼ばれた人は凄い勢いで駆けてきて『どうしましたか、波風教授?』と肩で息をしている。
「ごめんね?君は確か僕の講義とっていたよね?次の講義なんだけど授業には出たことにしてあげるからこの子達の面倒見てくれない?おーい二人ともこっちにおいで。」」
いきなり呼び止めれれ尚且つ子守の話なんてされた鼻の上の横切る傷が目を引く彼はきょとんとした顔で俺とナルトを見ていた。

「この金髪がうちの子。それでこっちの子もうちの教授のお子さん。えーっとうちの子は先日帰国したばかりだから日本語がまだあいまいなんだ。この子も・・・」
そういってミナトさんは俺の肩を叩く。
「日本語が話せないわけじゃないんだけど海外が長いから発音とか気になるみたいであまり話そうとはしないんだ。で、お願いなんだけどこの子達と話すときは言葉に慣らすために日本語でお願いできる?ゆっくりとした日本語で話してね?後は名前なんだけどこの子達が自分で教えてくれたら。そうしたら名前で呼んであげてくれる?」
「え、あ、俺が子守・・・ですか?」
戸惑いながらそう言う彼に有無を言わせない口調でミナトさんは畳み掛けるように話す。
俺もナルトも名前のことでからかわれているのを知っているからあえて名前を言わないでくれているらしい。
「そう、取りあえず僕の次の講義が終わるまでで良いからお願いね?学校の中を探検見たく案内しても良いし庭で遊んでいても良いし。その辺は君に任せるから!!じゃあ後は頼んだよ!!」
そう言うと俺たち3人を部屋の外に押し出しミナトさんはバタバタと講義の用意を始めている。

「えーっと、取りあえず中庭でも行こうか?」
そう言うと彼はナルトの手をとる。
ナルトは一瞬大きくビクッとしたが彼がニコニコしているのを見て安心したように笑顔で手を握り返した。
「君もつなぐ?恥ずかしいかな?」
そう言いながら彼は俺にも手を差し出してきた。
多分小柄な俺がナルトとそう変わらない位の年に見えたのだろうか。
どうするべきか躊躇っていると笑顔でそっと俺が嫌がれば直ぐ解けるくらいの強さで手を引かれた。
「二人ともじゃあ行こうか?」
そう言いながら俺とナルトの手を引いて歩いていく。

中庭のベンチに俺達二人を座らせると彼は俺達二人の前にしゃがみこむ。
「えーっとじゃあ出来るだけゆっくり話すからね。まずは俺の自己紹介から。うみのって言えるかな?」
自分を指差しそう言うと俺達の顔を見る。
『う・・ういの?』発音が難しいのかナルトはうまく呼べないのを見ると今度は彼は
「じゃあ『イルカ』なら言えるかな?」
「いうか?」
「いーるーかーだよ?」
「いーるーかー?」
「そうそう上手!!えっと嫌じゃなければ君達の名前も教えて貰えるかな?」

ナルトはちょっと首をかしげて『なーと』と言った。
「なーとくん?じゃ無いよな、きっと・・・。確かからかわれてとか教授は言っていたからな。・・・まさかひょっとして『ナルト』くん?!」
大きく嬉しそうに頷いているナルトを見ると今度は彼は俺の顔を覗き込んできた。
「君の名前は教えて貰える?」
多分俺は眉根にしわを寄せて険しい顔でもしていたんだろう。
彼は『ちょっとごめんね?』と言いながら俺の眉間の辺りをこすってきた。
「折角綺麗な顔立ちなんだからそんなところにしわ寄せてると勿体無いよ?良ければ後ででも名前教えてね?」
そういうと又立ち上がり俺達の手を引くとゆっくりと歩き出した。

彼は大学の中の色々なところを案内してくれたが途中で飽きた様子のナルトを見て今度は購買で3人分の飲み物を買うと又外に向かった。
天気が良いからとここで飲もうと言われ3人で木陰に座る。
彼はミナトさんに言われたのもあってかゆっくりとナルトにも聞き取りやすいように話してくれた。
その頃にはナルトは彼に懐き色々と話しかけ俺も簡単な返事くらいならするようになった。
気づけば俯きがちな俺の事も彼は気を使って話しかけてくれていたがふと上た彼は見上げたまま話しかけた。
「ほら、2人とも上を見てみろよ。木漏れ日がキラキラと綺麗だな。まるでナルトの髪みたいじゃないか?」
俺とナルトが上を見上げると木の葉の隙間からキラキラと光がこぼれて来ている。
「いっしょ?きん?すき?」
とナルトが聞くと彼は笑ってナルトの髪をクシャクシャッとかき混ぜた後ナルトを抱き上げ
「そうだなナルトの髪と一緒で綺麗な色だな。ナルトの髪もキラキラだぞ?お日様みたいだな。ほら、光に手が届きそうだな。」
と光に向かって手を伸ばすナルトを肩車してやりナルトはキャッキャッとはしゃいで光をつかもうとしていた。

それを見て何故だかナルトが無性に羨ましくなった・・・。
俺もあんなふうに彼に褒めて欲しい、彼に俺のことを触れて欲しいと思った。
ナルトを肩から下ろした彼に近寄り彼の手をつかみ思わず自分から問いかけた。
「銀は?銀は好き?」
俺から話しかけられて一瞬びっくりした顔をした後ゆっくりと笑って
「勿論銀色も好きだよ?君は・・・銀色が好きなの?」
と聞いてきた。
そのときようやく俺は自分が今は髪を染めている事を、本来の髪の銀色じゃないことを思い出した・・・。
思わずうなだれた俺の頭をポンポンと軽く叩くと彼は
「銀色は月の色だね。そうだ、確かこっちの方向に出ていたはず・・・。ちょっとごめんね?」
そう言うと彼は後ろを向いて俺に彼の背中におぶさるように促す。
おずおずと俺が彼の背中に乗るとそのままぐいっと持ち上げられ肩車の体勢になる。
バランスを崩しかけて俺は彼の頭にしがみつく。

「どこにあるかな?っとあった!!ほら、上を見てごらん?」
彼に言われ上を見ると月がぽっかり浮かんでいた。
「太陽も好きだけど時々俺にはまぶしすぎる気がするんだ。俺は夜は銀色の光で人の事を照らしてくれて。昼はひっそりと浮かんでいる月が好きだな・・・。内緒だよ?」
こっそりそう言うと彼は太陽のようなまぶしい笑顔で笑って見せた。
「ねえ、君はずっと下を見ているけど前を見てごらんよ?空も景色もこんなに広がってるんだよ?勿体無いじゃないか?」
そう言って俺にも周りを見るように促す。
いつもの俺の目線よりもずっと高い彼の肩から見ると空も景色も限りなく広がって見えた。
世界は、世界はこんなにも綺麗だったんだ・・・。
俺は呆然としながら彼の肩からの景色を眺めていた・・・。

「ごめんね?この子達良い子にしてた?ありがとうね?ほら2人ともちゃんとお礼は言えるかな?」
ミナトさんにそう言われ彼は照れたように鼻を横切る傷をこすっている。
「ナルトも彼も良い子でしたよ。俺も楽しかったから良いですけど。波風教授、もし今度があるなら講義の無いときにしてくださいよ?」
「イルカ、ありがと。」
そう言いながら纏わり付くナルトの頭をくしゃっと撫でると今度は俺のほうを向いて立膝をつき目線を合わせてくれる。

「君の名前を教えて貰えなかったのは残念だったな?じゃあ又ね?」
おれと目を合わせ小首をかしげてそういう彼に俺は慌てて口を開く。
「俺の名前は、かたし・・・・。あれ?かた・・・え?」
自分で自分の名前をずっと口にしていなかったからか自分の名前が上手く言えない。
悔しくてぽろぽろ泣き出す俺に彼はオロオロしながら俺の背中をさすってくれる。
「急にどうしたの?君はかたしくんなの?」
思わず彼の首にしがみつき泣きじゃくる。
自分でも可笑しいと思うが彼にちゃんと自分の名前を伝えられなくて、呼んでもらえなくてもどかしい、そして何故だかわからないがとにかく彼と離れたくない。

泣きじゃくる俺が少し落ち着いた後、彼は俺のことを引き離すと
「かたし君?もう少し遊びたかったのかな?でもごめんね。俺もこの後講義が入っちゃってるんだ。」
又ぼろぼろと泣き出した俺の涙をぬぐうと優しい声で話しかけてきた
「ごめんね?でも又縁があれば会えるから。そうしたら又遊ぼうね」
そう言うと俺の涙を又ぬぐってくれた。

「波風教授、失礼しました。ナルト、かたし君?またね。」
そう言うと彼は礼儀正しく一礼し、俺たちに手を振ると去っていった。
「ねえ、カカシ君。いったいどうしたの?」
そうミナトさんに聞かれて俺は『彼に自分の本当の髪の毛の色を褒めて欲しかった事』『彼の背中から見た景色が驚くほど綺麗だった事』『彼に名前を呼んでほしかった事』『なぜか分からないけど離れたくなかった事』などをを話した。
「・・・カカシ君は彼の事を好きになったのかもね?でもさっき彼が言っていただろう。『縁があれば又会えるよ』」
涙目でうなづく俺にミナトさんは『そっかまだ小さいままのつもりだったけどカカシ君にも好きな人が出来たのか・・・。』とどこか嬉しそうに呟いていた。

その後何度か父に連れられて大学にも行ったが彼に会うことは無かった。
俺は父の都合でそれからも海外と日本を行ったり来たりした。
学校にはきちんと通うようになり髪の毛もあの日彼に会ってから染めることをしなくなった。
・・・そしておれはあの日以来下を向いて過ごす事も止めた。
不思議なもので俺が堂々としていれば陰口を叩く人間はいても正面から言ってくる奴らは居なくなった。
『逆に髪の色が珍しいから』『青い目が綺麗だから』と皮肉にも今度は俺は外見だけでもてる様になっていったが俺は彼以外興味が無かった。

彼の『縁があったら又会える。』と言う言葉を支えにいつか会える事を願っていたが気がつくとかなりの年月がたっていた。
高校に入る前に父がしばらくは日本で落ち着く事になり、久しぶりに本格的にこちらで居住する事になったが彼の大学からはかなり離れた場所だった。
その後久々に帰国し、こちらで落ち着くこととなったミナトさんに彼が高校教師になることを知らされたがそれは俺が高校の願書等の提出も終わった頃だった。
本気で悔しがる俺にミナトさんは
「ねえ、カカシ君。まだ彼の事が好きなの?君がそこまで本気なら今度サクモさんが海外に行くときはこっちに残ると良いよ。僕からもサクモさんに頼んであげるから。会えないなら見えない縁なんか待ってないで今度は君から会いに行きなさい。君には彼の所に向かうための足も思いを伝えるための口も言葉もある。今度チャンスがあったら後悔しないように彼にきちんと伝えておいで?」
そう言ってくれた。

その後、俺が三年に上がる頃に又父が海外に行くことが決まった。
どうしてもこちらに残りたい。一人暮らしをし、違う高校に行きたいと言い張る俺と高校をそのままで一人暮らしをすればいいという一般的な意見の父と対立したがミナトさんは約束を守ってくれ俺の味方に付き、父もしぶしぶながら許してくれた。
ミナトさんがこれからは日本に居て、俺が受験予定でミナトさんが教授を務める火影大学にも今よりもずっと近いというのも大きな決め手となった。

3年の途中という中途半端な時期に父は海外に旅立ち、俺は高校の編入試験も問題なく済み、彼のいる高校へと転入した。
彼は学校に居て授業のないときは準備室で一人で過ごすことが多い事も分かった。
俺は本当に彼が好きなんだろうか?
ただの手に入らなかったおもちゃをいつまでも欲しがる子供じみた執着心に過ぎないんじゃないかと時々自分でも疑問に思う。
でもきっと、今では遠い日のあの日のように彼の目を正面からきちんと見れば俺の想いはハッキリするんだろうと思う。
ただの子供じみた思い込みであれば過去に一度面倒を見てもらったことの御礼を言って立ち去ろう。
そしてミナト先生にその事を話したらきっと『カカシ君無駄な努力だったけど良い経験になったじゃないか!!』『カカシ君って今まで散々もてたのに勿体無いことをしたね?』と言ってくれるだろう。
俺も『若さゆえの思い込みとか暴走って凄いですね!!』と一緒に笑い飛ばそう。
俺は本当に彼が好きなのか?若さゆえの思い込みなのか?子供じみた執着心なのか?きっと彼の前に出れば自然と俺の言葉は紡ぎ出されるだろう。

そんな事を思いながら俺は彼のいる準備室の前に立つ。
この扉を開ければ彼はいる・・・。
大きく息を吸い込み思い切って扉をノックする。
「おー、開いてるぞ。入ってきて良いぞ?」
あの日と同じ懐かしい声がする。
「・・・失礼します。」
窓の前に置いてある机で彼は何やら仕事をしている。
くるりと椅子ごと俺のほうに振り向くと一瞬訝しげな顔をして立ち上がる。
俺は彼の元へと歩み寄る。
「君は。・・・確か最近編入してきたんだよね?どうしたんだい?」
あの日のように小首をかしげて笑いながら俺に問いかける。
そんな彼を見て俺は泣きそうな笑いだしたいような不思議な気分になる。

いつの間にか俺のほうが少しだけ彼よりも背が高くなっていた。

ねえ、相変わらずその髪型なんだね?

俺は昔とすっかり変わっちゃったし一回だけ子守をした子供のの事なんて覚えてないよね?

月は相変わらず好きですか?

あなたのお陰で俺の世界はあの日から広がったままだよ?

縁があればいつか又会えるって言ってたけど待ちきれないから俺から会いに来たよ?

俺はあなたにずっとずっと会いたかったんだ・・・。

ねえ?・・・やっとあなたに会えたよ。



彼の前まで歩いていき怪訝そうな顔で俺を見つめてくる彼を俺もじっと見つめ返し口を開く。

「海野先生。俺は・・・。」

彼の後ろの窓の外にはあの日彼の肩から見たような青空が広がっていた・・・。

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