プロフィール

とめきち

Author:とめきち
2013年夏カカイルにはまった新米カカイラーです。
煩悩のまま駄文を書き散らしております。

ギャグとシリアスが混沌としております。
闇鍋みたいなサイトです。

本人は読むのは雑食です。
書くのはカカイルメインでちょっこっと捧げ物でライアオ書いてます。
こちらはカカイルサイトなのでそちらはUPしてません。

溺愛するポケモンはラプラスと使いやすさでコバルオン。
お稲荷さんと聞くと変態仮面が真っ先に思い浮かびます。
意外と手先が器用です。

基本的にギャグのカカシ先生はイルカ先生の話をキチンと聞いてませんし変態です。
イルカ先生は基本ツッコミです。

現パロのリゾートシリーズは基本カカイルですが色々なキャラが出てます。
っていうか最近そっちがメインな気もします・・・。

高校生シリーズは一旦完結しましたがたまに番外編で出てきてます。

リンクフリーです。
報告とかしてもらっちゃったら即効お邪魔します。
相互とかさせていただいちゃったりしたら喜んで話の一本でも書かせていただいて手土産にお邪魔いたします(笑)

ではへっぽこで珍妙で拙い文ではありますが宜しければお楽しみいただければ幸いです。

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夢十夜 第三夜

夢十夜 第三夜目になります。
忍設定になります。
こちらの話はカカシ視点→イルカ視点→カカシ視点・・・と言う風に交互に書いて行こうかと思います。
今回はカカシ視点で、曖昧で少し不思議な感じの話になっていると良いな思いつつ書かせていただきました。
前回同様はっきりとしたオチのない曖昧な少し不思議な話です。

良ければ追記より、ご一緒に不可思議な夢を見ていただければと思います・・・。

夢十夜 第三夜


こんな夢を見た


     *****

夢の中には何がある?

夢は一体どこにある?

頭の中?心の中?それとも全然違う場所?

そこはどこにでもあるけど、どこにでもない場所。

貴方はそこで、何を見る?誰に出逢う?

それは・・・夢見てからのお楽しみ。

それじゃあおやすみなさい、いい夢を・・・


     *****

 暗い場所からふっと浮き上がるような浮遊感と共に辺りがどんどん明るくなっていく。
 辺りが輝く様に白く包まれたと同時にぱちりと目を開く。
 それと同時に緩んでしまっていた手から、本がパサリと音を立てて離れていった。
 とっさに自分の置かれている状況が分からず、ボーっと辺りを見回してしまう。
 きょろきょろと周りを見回して分かった事は、どうやら俺はロの字になっている大きな吹き抜けの脇に置かれた一人掛けの真っ白な机で本を読んでいたらしいという事と、本を読みかけたまま寝てしまってたらしいと言う事くらいだ。

 ・・・ここは一体どこなんだ?
 あれ・・・俺の名前はなんだっけ?

 まだぼんやりしていて自分の事がはっきりと思い出せないが、焦燥感の様なモノは特には無く、むしろここがどこなのかと言う好奇心のほうが勝っている。
 立ち上がって周りを見てみると、ロの字になっている大きな吹き抜けの内側は、その吹き抜けを取り囲むように色々な形の机や椅子が一定の間隔を置いて並べられていて、外側と言うか室内にあたる部分には天井までの高さの本棚が数えきれないほど置かれていた。
 軽く吹き抜けの部分を覗き込むと、上も下も終わりが見えない位の高さがあり、やはりどの階もここと同じようにみっちりと本棚が置かれているのが見えた。
 机も椅子も本棚も全てがシミ一つない清純な白一色で眩しい程だ。
 本棚は見渡す限り続いていて、窓も電気もどこにも見当たらないが、室内はほのかに明るくぼうっと白く輝いているようにも見える。
 そんな事を思いながら手がかりは無いかと歩き出そうとしたら、本棚の影から出てきた男とぶつかりそうになった。 

「え!!なんで人が?!」

 俺の顔を見るなりそう小さく叫んだ男は、酷く動揺している様だった。
 顔を見るなりいきなりそう言われ、ムカッとした俺は目を見開いてこちらを見ている男の事を、まじまじと見返す。
 男はそう若くもないように見えるが、だからと言って年を取っている訳でもない。
 髪を全て纏め頭の天辺で括っているのが、まるで尻尾みたいで、服装と言えば、黒のタートルネックにぴったりとしたズボンをはいている。
 少し色黒な顔の真ん中の鼻の辺りに横一文字に深い傷跡があり、まだ驚いたように目を見開いて、ただじっと俺の事を見ている。

「さっきから俺の顔じっと見ているけど、何かついてんの?」
「あ、すいません」

 ハッと我に返ったように何度か瞬きを繰り返すと、彼はぺこりと頭を下げてきた

「アンタはココの人?」
「そう・・・です。ここでちょっとした仕事と言うか手伝いをしています」
「っそ、じゃあ聞きたいんだけどさ。俺は起きたら何でか知らないけどここにいたんだよね。変な話なんだけど名前も何にも思い出せないんだ。取り敢えず分かっている事は、寝る前までは本を読んでいって事だけ。そうは見えないけど、ここってひょっとして病院みたいなトコ?」
 
 俺の問いかけに彼は横に首を振り、括られた髪もそれに合わせて左右に揺れている。

「ここは病院ではありません。それに、ここでは名前は必要ないんです。自分が何者か知りたければ、自分の本を読めばそれで済みますから、貴方はここに居る間だけ、一時的に色々な事を忘れているだけだと思います」
「は?意味が分からないんだけど」
「意味が分からないと言われても、そうとしか言いようがないんですよ。でも俺に答えられることでしたら、何でも答えるので 聞いてください」 
 
 ほりほりと鼻の傷を掻きながら、今度は少し困った顔で俺の事を見ている。

「じゃあ聞くよ。ここはどこなの」
「ここですか。ここは『どこでもないどこか』で『夢の中のようで夢の中では無い場所』です」
「・・・あんたさっきから何言ってんの。じゃあ逆に聞くけど『どこでもないどこか』にあるココは一体どんな場所な訳?」
「ここに名前はありません。ですが・・・しいて言うなら『人生の図書館』とでも言えばいいんですかね」
「はあ、じゃあアンタは『人生の図書館』とやらで何をしている訳?」

 思わずハッと小さく吐き捨てるように言った後、彼に向かってわざとらしく肩を竦めてみせる。
 そんな俺の態度には気にも留めす、彼は話を続けた。

「俺はここで・・・あ、すいません。少しの間、待っていて貰えますか」

 一瞬誰かに呼ばれたかのようにきょろきょろと辺りを見回したあと、彼は俺にぺこりと頭を下げると歩き出した。

 俺は一人その場に取り残されたが、特にする事も無いし、まあついてくるなとは言わなかったよな・・・と思い、少し先を行く彼の後を何となくついて行ってみる。
 物珍しさもあり、周りをきょろきょろ見回しながら歩いて行くが、両側にそびえ立つ天井まで届く白い本棚には、隙間なく本がみっしりとつまっていて、その背表紙は様々な色をしている。
 爽やかな色、優し色、明るい色も暗い色もあり、違う色同士で複雑な模様のようになっている色、そしてその中には、どす黒いとしか言い表せない色もある。
 背表紙には全て幾何学模様にしか見えない文字の様なモノが書かれていたが、ふと気付くとその中には文字には見えないのに、見た瞬間に人の名前のように読めるものもあった。
 不思議に思って、人の名のように読める一冊を取り出してみると、その厚みからは想像が出来ない程のずっしりとした重さがあり、片手では持てず、慌ててもう片手を出して支えた。
 一体どんな本なのかと気になり何とか開いてみようとしたが、その表紙は貼りつけられたかのようにピクリとも動かず、暫くの間悪戦苦闘した俺は渋々ながら諦めて本を元の位置へと戻し、彼の後を追いかけた。
 
 本棚は一つの区間が終わったかと思うと少しの隙間を空け、又新しい本棚が置かれている。
 きちんと並んでいるがそれぞれサイズが違うのか、少しずらして置かれていたりする為、まるで本棚でできた迷路のようでもあり、本の海のようでもある。
 
 ふと気付いたが、ここには不思議な位に音が全くない。

 乱暴な歩き方をしてワザと音を立ててみようとしたが、その足音はまるでどこかに吸い取られてしまうかのようで、どれだけ頑張ってみても何の音も出てこなかった。

 一体どれ位の時間、本棚を見ながら歩いていたのか分からない。
 ふと気付くと、彼がとある本棚の前で何かを探しているのが目に飛び込んできた。
 彼は真剣な表情で何かじっと探していたが、スイと手を伸ばすと並んでいる本の中から一冊抜き出した。
 そうして抜き出した本に自分の手を重ねると、本が一瞬眩しく光り輝き、その光が消えた後には一冊だった本が何故か二冊になっているのが見えた。

「何、今の!」

 驚きで思わず声を上げると、彼は手にしていた本を本棚へと戻したあと、俺の方を向いた。
 不思議な事に一冊分しかなかった筈の隙間に二冊の本はすんなりと収まり、その背表紙は二冊になったが本同士同じ柄な訳では無く、似ているようだが異なった柄をしている。

「ああ、見ていたんですか?貴方は先程『俺がここで何をしているのか』と聞かれましたよね。これが答えです。今のがここでの俺の仕事・・・と言うか、俺がここに居る訳ですね」
「アンタの仕事?って今一体何をしたの」
「すみませんが、歩きながら話をしても良いですか?」
「それは構わないけど」
「ありがとうございます。作業しながらなので、時折話が途切れるかもしれません」

 彼は迷路のようになった本棚の間を、泳ぐ様に進んでいく。

「貴方に先ほどもお話ししましたが、ここは人生の図書館の様な場所です」

 ピタリと足を止めると、彼は本棚を指差した。

「この一冊一冊には、その人の人生について書かれています。亡くなった方の本は、その方が亡くなるまでどんな人生を送ったかが事細かに書いてあります。ですがまだ生きている人は、亡くなる所まで書かれている訳では無く、たいてい今過ごしている時間の少し先の事まで書かれているようです。俺も呼んだことが無いのではっきりとは言えないのですが・・・」
「え・・・アンタ、一体何言ってんの?」
「先ほど貴方は俺が何をしたのかと聞きましたね。あれは、この世に生を受けた方の分の本が出来た所です」
「そう言われて、はいそうなんですか。凄いですねって、素直に信じれると思う?」
「信じられないのは無理もないと思いますよ。俺も自分が貴方の立場でしたら、何を馬鹿な事を言っているんだって思いますね。次は、まずはこれかな」

 彼は本棚の間を迷いの無い足取りで進んでいき、ある本棚の前で立ち止まると、手を伸ばして又一冊の本を抜き取った。

「何、また子供が生まれるって言うの?」
「いえ、今度は違います。ちょっと待っていてください」

 そう言いながら、また違う本棚へと移動し、抜き出した本に自分の手にしていた本を重ねる。

 すると又本は一瞬眩しく光り輝き、その光が消えた後には二冊だった本は、今度は分厚い一冊の本になっていた。
 彼が手にしていた本を本棚へと差し込むと、今度はそれほどの厚みのない一冊分の筈の隙間に分厚い本はすんなりと収まり、今度の背表紙は場所によっては色が溶けあい、また別の個所ではお互いの色を引き立てるかのような複雑な模様を描いていた。
 驚きで目を丸くしている俺の事を気にもせず、彼は本棚の間を泳ぐように歩きながら、一冊の本を二冊にしたり、二冊の本を一冊にしたりと繰り返し、ふと気付くと、俺が目覚めた机の場所まで戻って来ていた。

「どうぞ座ってください」
 
 そう示され椅子に腰かける。良く見ると椅子は一脚しかなく、彼は立ったままこちらを見ている。

「アンタに答えられることは、何でも答えてくれるって言ったよね。もう一度聞く。さっきのは一体何?そんで、アンタはいったい何者?」

 そう問いかける俺に彼は軽く肩を竦めてみせた。

「最初に言いましたが、ここは人生の図書館の様な場所です。人が生まれ、どう生きて亡くなったかが書かれた本が収められています」
「アンタは・・・人間なの?」
「勿論です。貴方と同じ人間ですよ。ただ、ちょっと選ばれて、ここで本の整理や手伝いをしているだけです」
「整理や手伝い・・・って。ひょっとして、さっきやっていた手品みたいなアノ事を言ってんの」
「そうです。二冊の本が一冊になるときは、男女限らず、その人と他の誰かの間に深い縁が出来て、お互いの人生が重なりあった時。一冊の本が分かれる時は、新しい命が生まれた時や、お互いの縁が切れた時やどちらか片方が亡くなった時らしいです。・・・と言っても俺にも、良く分かりません。ここに居ると何となくそう言った事が分かるんです。と言っても、大雑把な事しか分からないんですけどね」

 困ったように笑うと、癖なのかまた鼻傷を掻いている。

「そのくっついたり離れたりする本は、どうやってわかる訳?」
「この本だなって言うのが分かると言うか、本に呼ばれると言うか。何となくそちらに向かって、引っ張られる感じですね」
「初めて人に会ったって言ったけど、ここにはずっとアンタしかいないの?」
「いえ、恐らく俺の他にもここの手伝いをされている方やここを訪れる方は多数いらっしゃるとおもいます。ただ上手い具合にそれぞれ会わないようになっている・・・と言うか、お互いが認識できていないようになっているみたいです。さっき言った通り、俺は今までここで、他の方に合った事は一度もありません。だからあなたがいるのを見た時にはかなりびっくりしました」

 さっき俺がやったように肩を竦めながら、彼はそう説明した。

「じゃあここには、俺の人生の書かれた本もあるっていうの」
「ええ、勿論です。誰しも自分の人生の書かれた本を持っていて、自由に見る事が出来ます。貴方の本は、そこにあるじゃないですか」

そう言って刺された机の上には、さっき俺が読みかけていたらしい本が置かれたままだった。

 その本は、鉄紺色のような黒に近い紺色に、唐紅のような鮮やかな赤で文様が描かれている。
 表紙に描かれている文様は幾何学模様のようにしか見えないのだが、何故か自分の名前だという事が分かった。
 そっと手を伸ばして持ち上げると、さっきの本と比べると信じられない位に軽かった。

「軽い・・・。さっき手にした本は、信じられない位重かったのに」

 目を見開いてそう言うと、彼は微笑みながら頷いた。

「それは貴方がさっき手にしたのが、他の方の本だからです。ここの本一冊一冊には、その方の人生が詰まっています。貴方の人生は自分自身がすでに背負っていらっしゃいます。だから自分の本を持つと軽く感じるんです。そして先程手に取られた本の持ち主の人生を、貴方は背負ってはいない。だから一見軽そうに見えても、凄く重いんですよ」
「でもアンタはさっきから、他の人の本を軽々ともっているよね。それは何で?」
「それは・・・。恐らく俺の本当の仕事が、ある意味、他の方の人生に関わる様な、人を育てる様な仕事をしているからじゃないでしょうか。それできっと、ここの仕事の手伝いに選ばれたのかもしれません」

 彼の話を聞きながら、俺は手にした本を弄んでみる。何の気なしに表紙を開くと、先程の本とは違いやすやすと開く事が出来た。

「・・・読みますか?さっきもお話しさせていただきましたが、そこには少し先までの貴方の身に起こる出来事が書かれています。読むも読まないも貴方の自由です」

 表紙を開くと、最初に挟み込まれていた薄い半分透けた遊び紙が挟まっている。
 その紙を指先で弄んでみながら、又彼に問いかける。

「アンタさ、さっきここが夢の中の様な場所って話してくれたよね。じゃあ仮にここが夢の中だと仮定するよ。今、俺がこれを読んだとして、夢から覚めた後も内容は覚えていられるの?」
「それは出来ません」

 首を軽く振ると、彼はキッパリとそう言った。

「ここでの出来事は、通常の方は覚えていることはできません。ですが、ここで自分の本を読んでも全て忘れてしまう訳ではなく、どこか自分の中の片隅に、欠片となって残されています。貴方はデジャヴュって言葉を聞いた事はありますか」
「デジャヴュ?」

 耳慣れない言葉に眉をしかめると、彼は一つ頷いて説明してくれた。

「『デジャヴュ』とは、一度も体験したことがないのに、すでに体験したことのように感じることで『確かに見た覚えがあるのに、いつどこでの事だか思い出せない』と言う感じです。『あ、このことはどこかで体験した事がある」とか『この場面は知っている』と感じた事は無いですか?あれは自分が読んだ本の欠片が残っていてそう感じているんですよ」
「へ~そうなんだ。アンタ良く知っているね。まるで先生みたいだ」
「ありがとうございます。ですがここに居らっしゃる方の中には、ごく稀にはっきりと本の内容を覚えている事が出来る方や、更に稀ですが他の方の本をも見る事が出来る方もいらっしゃるらしいです。そう言った方は、占い師やシャーマン、予言師と呼ばれたり、自身の不幸な出来事を避けたりできる為、色々な面で成功される方が多いようですね。どうしますか・・・貴方は読まれますか?」

 話しを聞きながら、指先で薄い紙を弄んでいる俺の様子が気になったのか、彼はこてんと首をかしげながら聞いてきた。
 同じ男の筈なのに、そう言った仕草が妙に似合うし、どこか可愛らしく見える。

「そうだね~どうしようかなあ。じゃあさ、ココでのことは忘れちゃっうっていうなら、俺はアンタの事も忘れちゃうのかな?」

 彼の真似をして、俺もこてんと首をかしげて彼の事を見る。

「ええ、貴方も・・・俺も恐らくお互いに覚えていないでしょう。ただ俺は、またここに来た時だけ、貴方の事を思いだすかもしれません」
「・・・それって何か嫌だね。ねえ、ここには、アンタの本もあるんだよね」
「ええ、勿論です。ここにありますよ」

 くるりと手首を返すと、彼の手の中に手品のようにパッと一冊の本が現れた。

「俺の本はこれです」

 彼はその本を机に置くと、スッと俺の前に押し出してきた。
 その表紙は、晴れた日の空のような浅葱色に彼の髪と目のような漆黒で何かが書かれている。
 表紙に書かれている文字らしきものは、俺にはやはり幾何学文様としか思えないし、勿論表紙も開けない。

「これって・・・アンタの名前が書かれているの」
「はい。貴方にはこれが読めますか?」
「悪いけど、どう見ても黒い文様にしか見えないね」

彼の本の表紙の文様を指でなぞるが、やはり一文字も分からない。

「そうですか。これが文様にしか見えないって事は、俺と貴方は縁が無いみたいですね」
「そう言えばさ、本棚の本の背表紙を見ていたら、そこに書かれている文様が何故か字みたく読める本が、何冊も何冊もあったんだ。今のアンタの話からすると、その人達と俺は縁があるって事?」
「そうです。文様が字に見えた本は、貴方の人生の中で縁のある方関わり合いのある方の本です。でも貴方に俺の名前が読めないって事は、お互いの人生には縁がないって事です。貴方は俺がここで初めて会った方ですから、お互いに何か関わり合いがあるのかとも思いましたが。残念です」
「・・・俺はアンタの事、結構気に入ったし、折角あったのに忘れちゃうって、何か気に食わないんだけど」
「ありがとうございます。でもそれも運命です。運命を変える事は出来ませんから、こればかりは仕方がないですね」

 今度はおどけるように肩を竦めると、俺に向かってどこか諦めたような顔で笑いかけてきた。

「ねえ、アンタがさっきやっていた縁を結ぶ方法だけど、本同士ってどんな本でも重なるの?」
「さあ、どうでしょう?ひょっとしたら出来るかもしれません。でもそれって、運命を捻じ曲げて変えてしまう事になります。試した事が無いのでわかりませんが、そんな事は俺には出来ません」
「じゃあアンタの運命だったら?」
「今言いましたが、変えるのは俺一人の運命じゃありません。相手の運命を勝手に捻じ曲げるなんて出来ませんよ」
「アンタ本当に真面目だねえ~。まあそんな堅物だから、こんな事を任されているんだろうけどさ」

 そんな俺の問いに、彼は何も答えずにかっと笑ってみせた。

「・・・ねえ、アンタさ。俺のことどう思う?」
「へ?どう思う、っていきなり言われても・・・」
「好きか嫌いかで良いよ。教えてよ」
「貴方の事は少ししか知りませんが、別に嫌いじゃないですよ」
「それって、俺の事が好きって事でいいのかな」
「まあそうですかね。縁がないのが残念な位には好ましく思いますよ」

 彼の答えを聞いて、思わずにんまりと笑ってしまう。

そうだね、俺もアンタとこの先、縁がないのは残念に思うよ。

「縁が無いなら、作れば良いよね。やってみて上手くいけば、運命を変えるくらいの縁があるって事だしね」

 そう言うなり、机の上に置いてあった彼の本の上に、素早く自分の本を重ね、その上に手を置く。

「ちょ、何をするんですか!」

 彼が叫んで手を伸ばしてきたが、その時には本は激しく光り輝いていた。
 目が眩むほどの閃光に、思わず顔を背ける。
 光が落ち着いた後で顔を向けると、そこには一冊に纏まった厚みのある本が置かれていた。
 二色の青はある場所では溶け合い、ある場所ではそれぞれの色を主張し、ある場所では複雑に絡まり合い、唐紅の文様を漆黒が縁取っているのが見えたが、彼が素早く手に取った為、その字までは読めなかった。

「これは・・・完全に一冊になってしまってますね。まさかこんな事をするとは、思ってもみませんでしたよ」

 大きくため息を吐くと、彼は本の表紙をじっと見つめる。

「貴方は随分と無茶な事をしますね。こんなことをしてしまって、お互いどうなるか分かりませんよ」
 「まあいいんじゃない?やっちゃった事は仕方ないよ。俺もアンタも折角ここで会えたんだから、このまま終わるのも面白くないでしょ」
「まあ確かにそうですけどね。さて、貴方は俺の運命を変えたけど、俺達がどんな縁で繋がったのか、楽しみですね。ひょっとしたら仕事場が同じになって、一心同体のようなパートナーになったり、はたまた運命共同体のような会社の共同経営者のような関係とか・・・」
「そんなの普通すぎて面白くないでしょ。運命を変えたんだし、いっその事・・・恋人同士だったりして。そうしたらアンタはどうするの?俺が口説くの?それともアンタが口説いてくれるの?」

俺の言葉に彼は顔を少し赤くしながら目を細め、口元に手を当てると、ククッと喉の奥で笑ってみせた。

「恋人同士ですか!確かにそれはすごい縁ですね。もしそうだとしたら、どちらが先に惚れるのか、どちらが口説くのか、今から楽しみにしていますよ」

 そう言いながら、彼は机の端に本を置いた。

「でもお互いの縁が繋がったって事は、これでアンタの名前も読めるって事だよね」

厚みを増した本に手を伸ばした瞬間、何故かガクンといきなり眠気に襲われる。

「な・・・急に・・・ねむ・・・く」
「ああ、無理に運命を変えたから、貴方はここから追い出されてしまうようですね」
「・・・あんたは・・・どうなる・・・の?」
「俺は・・・この先どうなるかな。多分、ひょっとしたら、ここの仕事もクビになるかもしれませんね。結構気に入っていたんで残念です。でも俺が居なくなっても、また誰かがここで同じように過ごしていくんでしょう」

 少し困ったように笑いながら、彼は俺のすぐ脇まで歩いてきた。

「ちょっと・・・待ってよ・・・あんた・・・の・・・名前をまだ・・・知らな・・・い」

重くのしかかってくる瞼を何とか気力で押し上げ、眠さのあまり呂律が回らなくなった口で途切れ途切れに彼に問いかける。

「今は知らなくても・・・俺との縁は貴方が無理やり繋げました。きっと又会えますから、心配しないで下さい」

彼は俺に向かって手を伸ばし、優しく髪を梳きながら、そっと囁くようにそう話しかけてきた

「ほん・・・と・・・に・・・?」
「ええ、安心してください」

そう居ながら俺の前髪を掻き上げると、まるで駄々をこねる子供をあやすかのように、額に優しく口付けしてきた。

「貴方が・・・運命を変えてまで繋げた縁です。俺からも、すぐに会えるようにおまじないしておきます」

もう少し彼の顔をじっくりと見て話をしていたかったのに、話すのも、瞼を開いているのも、もう限界だった。
彼の言葉の優しさと、額に落された微かな温もりに安堵して、今度こそ瞼を閉じて意識を手放す。

「おやすみなさい、いい夢を」

深淵に向かってズルズルと落ちていくように薄れゆく意識の中で、微か俺の耳に届いたのは、謳うように楽しげに話す彼の声だった。

「さあ、起きたら二人で、夢の続きを始めましょう」

     *****

「・・・シ・・・カシ・・・カカシ」

どこからか、俺を呼ぶ声が聞こえる・・・。

「バカカシ!いつまで寝てやがる、いい加減に起きやがれ‼」

耳元でがなるような大声を出され、その衝撃で思わず飛び起きる。
急に起きた事でバクバクと自己主張している心臓を押さえ、浅く呼吸を繰り返す。

「は・・・えっと・・・」

目の前にある髭面がとっさに誰かわからなかったが、瞬きを何度か繰り返すうちに、視界は波が引く様にクリアーになっていった。

「あ、・・・ここは・・・上忍待機所か」

半覚醒状態の頭を何とか働かせ現状を把握すると、どうやら俺は、椅子に座り腕組みしたまま寝ていたらしく、そこを髭に叩き起こされたらしい。

「ハア、何ボケた事を言ってんだ。お前、呼ばれても面倒だから無視しているのかと思っていたが、ひょっとして本気で寝ていたのか?」

確かに暗部にいた昔と違い、そんなに疲れている訳でも無い。それなのにここまで寝入ってしまうなんて忍として失格だな、なんて苦笑いしながら呼吸を整える

「そうだとしたら、何でわざわざ起こすのよ。何か用?」
「用があるから起こしたんだろうが。さっきからお前の事捜している奴がいるぜ、行ってやれよ」

 ようやく乱れていた脈拍と呼吸が落ち着きだす。さらに落着けるかのように大きく息をしながら伸びをする。

「あ~、一体誰よ。めんどくさいなあ」
「お前なあ、俺の部下みたいな事を言うなよ。お前今度から上忍師やるんだろ。その子供達の元担任が、挨拶したいって探してんだよ」
「ああ。そう言えば、三代目が何だか一度挨拶しろとか言っていたけど、その人の事かな?仕方ないから行ってくるか」

 体をブルリと震わせ、まだどこか寝足りないと言うかのように出てきそうになったあくびを噛み殺しながら、目の前の髭面を眺める。

「ねえアスマ。アンタが会ったっていうその人さ、どこにいたの」
「さっきは資料室の方にいたぜ。アカデミーで使った資料返しながら、お前の事捜したから、まだそっちにいるんじゃないか?」
「ふうん。そう言えばその人って、どんな人?」
「犬のしっぽみたいな髪型して、鼻の上に横一文字にキズがある男だ。特徴的だし、会えばすぐに分かんだろうよ」
「ふうん、ありがと。じゃあ行って来るわ」

 のそりと立ち上がると、起こしてくれた髭面の男に礼の代わりに、ひらひらと手を振って歩き出す。

 そう言えばその人の名前を聞き忘れたなと思いながらぶらぶらと歩いていると、資料室の扉ががらりと開き、中から男が一人出てきた。
 パッとこちらを見た顔には、鼻の上を横切るような目立つ傷があり、尻尾のような髪型をしている。
 その眼が俺の姿を捉えた瞬間、大きく目が見開かれて驚いたような顔をした。
 だが次の瞬間、何故か俺に向かって嬉しくてたまらないと言った感じで笑ってみせる。
 その表情の代わりように、男相手に不覚にもドキッとしてしまい、動揺を隠す様につっけんどんに彼に話しかける。

「あ~、アンタさ。ひょっとして、俺の事を捜してた?」
「貴方がナルト達の担当の、・・・はたけカカシ・・・上忍ですね」

 まだどこか嬉しそうに笑いながら、俺に向かって頭を下げてくる。
 慌てて俺も頭を下げるが、まだどこかに残っていたらしいあくびが出そうになり、無理やり噛み殺して思わず涙目になると、それを見た彼にクスリと笑われる。

「すいません、ひょっとしてお疲れですか?」
「あ、違う違う。恥ずかしながら、さっきまでちょっとウトウトしていたから、まだ少しボーっとしているみたいで」
「そうだったんですか。休憩中にわざわざこちらまで来ていただいて申し訳ありません」
「いや、こちらこそ。あちこちと探して貰っていたみたいで申し訳ない。俺も三代目から、貴方に一度挨拶するように言われていたんで丁度良かったよ」

 頭をガシガシと掻きながらそう言うと、彼は口元に手を当てククッと喉の奥で笑ってみせる。
 ・・・さっきもそうだけど、俺は彼のこんな姿を前にも見た事がある気がする。
 彼とは初対面のはずだ・・・だが心の奥に何か欠片の様なモノがありそんな事はないとチクチクと自己主張している。
 思わず眉根を寄せてしまうと、彼が「どうかしましたか?」と少し不思議そうな顔を覗き込んできた。

「いや、こんな光景をどこかで見た事がある気がして・・・」
「ああ、それはデジャヴュですね」

 にかっと笑みを浮かべると彼は俺に向かって、その言葉の説明を始めてみせた。

「『デジャヴュ』とは、一度も体験したことがないのに、すでに体験したことのように感じることで『確かに見た覚えがあるのに、いつどこでの事だか思い出せない』と言う、何処かもどかしさを伴う感じですね。俺もたまにありますよ」

 流石はアカデミーの教師と言うべきなのか、彼はこの不思議な感覚にスラスラを説明してくる。
 ・・・俺は彼にどこかでこういう風に言葉の説明された事がある気がするが、きっとこれもデジャヴュと言うものなんだろうか?
 まだどこか違和感が残る俺に向かって、彼はスッと右手を差し出すから、俺も自分の右手を差し出た

「では改めて、自己紹介させてください」

 硬く俺の手を握りしめながら、彼は自己紹介してきた。

「・・・初めまして。うみのイルカです。あの子達のアカデミーでの担任をさせていただいてました。癖のある子達だと思いますが、宜しくお願いします」
「こちらこそ挨拶が遅れました。はたけカカシです。これから上忍師としてあいつらを担当させて貰います。こちらこそ宜しくお願いします」

お互いに挨拶も終わったし、彼と握手している手を離さねばと思うのだが、何故だかその手を離すのが不思議なくらい名残惜しい。
今までこんな気持ちになった事はないのに何だろう?
さっきのデジャヴュといい、今のどこか離れがたい名残惜しさといい、今日は何だか不可思議な事が多い。
自分の中の不思議な感情に戸惑い気味の俺の顔を、彼は何処か眩しそうに目を眇めじっと見つめているが、手を握りしめたままな事を迷惑に感じている訳ではなさそうだ。
そんな彼の顔を見つめ返しながら、俺の頭の中でこのままもう少し彼と一緒にいる方法を素早く考え、幾つか考えた中で一番不自然じゃない方法を選び出す。
そうしてようやく握ったままだった彼の手をゆっくりと離しながら彼に話しかけた。

「えっと・・・イルカ先生。あの、もしこの後で時間があるようなら、ちょっとお願いしたい事があるんだけど良いかな」
「はい、何でしょう。はたけ上忍」
「あの、俺の話に付き合って貰えるかな?あいつらに癖があるって言ってたけど、後々指導しやすい様にアイツらの癖を出来れば知っておきたいんだよね。あと俺に『上忍』は付けなくていいです」
「勿論良いですよ。えっと、じゃあカカシさん・・・で良いですか?」
「はい、その方が話しやすいんで」
「ここじゃ邪魔になりますよね。どこか違う場所に行きましょうか?」
「上忍待機所・・・は何か違うな。どこが良い場所が無いか歩きながら考えますか。イルカ先生はどこかいい場所知ってますか?」

 そう言いながら俺は、何処かゆっくり出来る場所・・・と呟きながら、歩き出す。
 だから俺は、その後ろをついてきたイルカ先生が、俺の事を見ながら微笑んだまま微かに口元を動かしたのには気付かなかった。


初めまして『はたけカカシさん』

ではこれから改めて二人で・・・夢の続きを始めましょう。


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